(14)シャローム アロハ!ハワイの「自己尊重教育」を紹介します

 現在の教科書や平和教育(「教科書の周辺について」を参照)、及び日本全体の空気では、決していじめを減少できないでしょう。冒頭のアンケートを思い出してください。なぜなら自虐史観で自分をも心の底で認めさせていないし、「加害の面に視点をあてた」反戦平和主義で正義のために戦うことを否定しているからです。いじめを解決できる能力を持たないのに、世界の平和を実現できると思われますか?「教室に平和が訪れていないのに、世界に訪れるでしょうか?」

 過去日教組が打ち出し、日教組内部から否定したすばらしい方法論があるのです。

 ハワイのパブリックスクールでは一九八一年から、身近な視点に立った平和教育プログラムを実践している。このプログラムは、次の八つのレッスンで構成されている。
@人を大切にすることはどういうことであり、何をすることなのかを理解する。
A自然の中の美しい調和を感じ−−植物や動物など、生きとし生きるものすべてのものを尊重することを学ぶ。
B自分も他人も受け入れ、自分は他人とは違うユニークな人間だと言うことをはっきり認める。
C家族一人ひとりのユニークさと価値−−家族の平和と調和
D人格的な力と暴力の違いを理解する。
E学校内の暴力の原因を見つけ、肯定的な自己イメージをつくりあげる。
F核兵器の影響について伝え、核装備に関する現在の政府の政策を理解する。
G私たちは同じ一つの地球家族に属しているという考え方を育て、私たち一人ひとりがどのようにして世界の平和と調和に貢献できるかを考えてみる。

ハワイのワイアナエの公立学校の教師たちが著した平和教育教材のテーマは「平和はセルフ・エスティーム(自己尊重)から」で、”あとがき”には、「すべての人や環境とのつながりを実感している人ならば、人を攻撃することはない。自分たちの領土を増やしたり、他国を侵略する必要もない」と書かれている。
 この平和教育プログラムは、戦争の根本原因は私たち自身の内部にあると考えており、自己尊重、すなわち、自らのオンリーワンの価値観や存在意義を自覚するところから始め、家庭、学校、地域から国家、世界のすべての人々と調和して生きる道をじっくりと教えることに主眼をおいている。
(『検証戦後教育』)

 

 高橋氏は『平和教育のパラダイム転換』の中で、上記に示した内容に実践的な方法を紹介しています。

@・・学校中に「シャローム(私の心の平和をあなたに)」と広められる、そんな合い言葉なのです。・・こうして平和と調和の精神を広めていくことができるのです。「シャローム、アロハ、(あなたが大好きです)」・・・
Bについて「みんなユニークで大切な人」では、心と身体をリラックスさせるワークを通して、心と身体と魂の調和した自分を実感し、「信頼ゲーム」(丸くなり、丸く囲んでいる子供たちが、円の中心にいて目を閉じあらゆる方向に倒れる子供を支えるゲーム)や相手の好きなところを出し合うワークを通して、「自分も他人も受け入れる」ようになる。

沖縄での「平和教育のパラダイム転換」について、氏は紹介しています。平良市立池間小学校の平和教育の一環である早朝5時からの体験教室では、船頭が釣り方を指導し、そのときに次の俳句が生まれました。校内の石碑に刻まれ、沖縄における新しい平和教育の試みを象徴しています。

サオが曲がる かつおが空で鳥になる

 

 生きる力がみなぎるような、新しい平和教育。ここに本当の実践的な平和教育がありそうな気がします。歴史観を変えただけで、いじめはすぐになくならないでしょう。自己を肯定する自己尊重主義、感性教育(「感性・心の教育」http://www.kansei.ne.jp/)が、これからの子供達にとって必要ではないかと筆者は考えます。
 「平和教育」と「歴史教育」はそれぞれに独立し、事実はありのままに伝える学術的姿勢を示し、決して平和教育と称し歪曲することなく、確かな資料(第一級資料)に基づいた品格ある内容で構成すべきであると考えます。

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