私の意見掲載以降、石橋市長からご返事も頂き、梶原さん・佐々木さんからご意見を頂いておりましたのに、コメントが遅くなってしまいました。
現状の市立病院について、やはり、みなさんがお感じになっている点、大方同じようですね。
ひとつひとつ、お話を進めて参りましょう。
まず、「長時間待ち、短時間診療」という問題、現場の医師は日々の外来対応に忙殺され、患者一人一人に使える絶対的な時間が不足しているという傾向はとても顕著なようです。
一方、市民の間では、「重い病気は市立病院」という時代が終わって、「重い病気は松山」などと言われていたりします。今の一般外来者数と医師の人数バランスでは、高い能力を持った医師が配置されたとしても、外来に(それも、風邪程度のことで)対応するために時間をとられ、どうしても十分な診療・診断ができないという現実を産んでいるようです。実際、現場の医師は接する市民に対しその辺りを吐露されることが多くあるようです。それは医師の思い上がりなのでしょうか?けして、そうではありません。十分に時間をかけて、診療を進めたいにもかかわらずそれが叶わぬ現状の問題点を指摘する正当な意見ではないかと思っています。
やはり、一次診療は、かかりつけ医・ホームドクターで受け入れ、場合により市立病院や専門医へ回ってもらうことがよろしいのかと思います。市立病院をそうしておくことが、自分や家族がなにか大きな病気であったり緊急な処置の必要な事故・発作等に遭った場合に十分な診療体制で待っていてくれる施設の維持につながるのです。
確かに、日本は、国民皆医療保険制度が確立していて、だれもが自由に医療機関を選択して保険診療を受けられるフリーアクセスの環境が整えられています。しかし、その結果、はしご診療(同じ病気で病院や医院を転々とすることで、同じ検査が2重3重に行われたり、似たような薬がダブって処方される等が起きています。けしてセカンドオブニオンの効果を否定するものではありませんが・・)や大病院志向(一般医よりも専門医、まちの個人医院より大病院が良いという価値判断)で、総合病院だから信頼できるなどといった、単純な思いで医療機関を選択して、医療費の高騰(医療保険制度の破綻も近い)や結果的な医療の質の低下を招いているといわれています。自分だけはとか、自分の家族くらいはという意識は捨てて、賢明な医療サービスの選択を進めるべきです。
たとえば、個人の診療・医療情報の管理を一元化(保険証をICカード化して)、薬が余るほどもらえるとか何回も同じ検査をするという無駄遣いをしないですむような体制をとればいいのです。現状、過去に受診した各医療機関に散らばって存在するデータを、カードで一元的に管理すれば、過去の傷病歴やアレルギー等の体質情報を事前に把握することもでき、より迅速に高度な医療を施せる、そして医療事故の確率を低いものにすることにも繋がると思います。
この、医療機関同士の連携という点について、宇和島の場合、市立病院に京大系列の医師が多く勤務していたころから個人医院との連携は比較的取れていたと聞きます。しかしその連携が、「悪かったらどうせ市立へ回るのだから、最初から市立へ」という価値判断を産んだのも否めないようです。
今は、「市立は混んでいるだけ、**の治療以外は、○○が良い。」なんて医療通はのたまわったりいたしますけど・・・。
一方、逆に「様体の安定」「高度医療を必要としない」患者を個人病院へ転院させるシステムはどうでしょう、確かに望むべき役割分担の一つであります。しかし、現在、個人の医院では多くの医院で入院患者をとることをやめ、医院の経営コストの低減を計っているところが多いようです。これらを解決するためには、今の個人医院と病院の中間的な規模の「診療所(日本では医療施設の共同利用に制約があるため、数人の医師が勤務する診療所は病院という形態をとることになる)」という形を再考して、それらを地域医療の担い手にするということも考えなければならないと思っています。
次に、市立病院がカバーするエリアと市立病院に対する投資元のバランスの問題ですが、この点については、
先に触れましたように市立病院は、
災害拠点病院・
救急救命センター・結核予防法による指定医療機関として指定を受け、助成措置・優遇措置を受けています。それ以外の一般外来・一般病床について、確かに「北宇和郡や南宇和郡、高知県西部地域の患者も結構おられるわけで、それらの市町村から共同出資等という形をとるとなると、益金や損金の分配とか立地の問題等、クリアするハードルが増えてくるように考えます。しかし、この病院は、名実ともにこの地域の基幹病院として機能すべきであり、受益者がこの地域一円に広がっていることを考えると、市立病院を市立で運営することへどこまでこだわるかと併せて、少なくとも広域でこの病院のあり方を考えていかなければならないと思います。
もうしばらくすると、この宇和島市立病院の建て替えをテーマにして市民の声を聞く審議会とか公聴会、市民参加の検討委員会などの設置が市のキャビネットの議論のテーブルに上ってくると思います。
私達の財産にもなり、お荷物にもなりうる大きな施設・施策の決定であります、今後とも皆さんのご意見をお待ちしています。
社会的入院とは?
「医療よりもむしろ介護が必要な高齢者等が医療ベット(急性期患者用ベット)
を使ってしまって、その入院費等が医療費としてカウントされる」という問題です。そもそも、社会保障費として支出されるべき経費が医療費として支払われているという不整合部分なのです。
家庭が受け入れられないからと言う理由で、医療行為を施す必要がないにも関わらず、入院をさせといて下さいという入院のことです。
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