まえがき

戦後55年が過ぎ、昨今は子供たちの心がすさんできており、青少年による凶悪無比な犯罪が後を絶ちません。その原因はどこにあるのか?一つには教育の問題があげられると考えます。

 教育とは、「今を生きる」我々が、「明日を担う」子供たちに、使命感と誇りに満ちあふれた大人になるように教え育むものであり、一人ひとりの個性と能力を充分に発揮し生きていけるように育てるものです。

しかしながら、現在の小中学校で使われている歴史教科書は、子供たちに誇りを持ち、公に尽くす使命感を育てるというものからはほど遠い内容となっています。この歴史教科書が子供たちにどんな悪影響を与えるか、この子たちが大人となった後の我が国の行き着く先はどこなのか、今を生きる大人たちが真剣に考えなければならない時が来ています。

子供たちには、日本古来の伝統と文化をふまえ過去の史実を、「歴史的事実」に基づいてバランスよく教えねばなりません。外国の圧力による「政治的事実」によってねじ曲げさせてはいけないのです。

あまりにも自虐的で悲惨きわまりない状況にあります。このようなひどい内容で本当に21世紀に生きる日本の子供たちの教育ができるのかを危惧し、我々大人たちに今の現況を認識してもらい、歴史に対する意識、日本人である意識をもってもらうことを目的にこの本を出させていただきました。

物事には何事においても2つ見方が並立します。世界観にも「人類は宗教や民族を越えた世界国家という究極の理想をめがけて進むべきである」という理想主義に立脚した世界観、「人類は異なった民族がそれぞれの独自性を保持しながら共存共栄する社会を目指して進むべきである」という現実主義に立脚した世界観が存在します。思想が人を幸せにするのなら、いろいろあっていいと思います。しかしながら、この2つの世界観は決して相容れないように、お互いの国が共通の「歴史認識」を持つことも所詮無理なことです。なぜなら相手には相手の立場があり、我々には我々の立場も見方も歴史もあるからです。相手は自分とは違うということを原点におかないと相手を理解することはできません。

善悪の基準は時代によって、立場によって異なります。平和時の価値判断で過去の歴史を評価している教科書では、明るい未来を創造できる子供は育ちません。聞こえのよい理想論に操られることなくしっかりと現実を捉え、今我々は、我が子に何を伝え、何を残して行くべきかを真剣に考えなければなりません。日本人としての本来の歴史教育を取り戻さねばならないのです。

韓国には韓国史があっていいと思います、中国には中国史があって当然です、同じように日本には日本人の視点から見た日本史があらねばなりません。そんな教科書が本当に必要とされていることを、メンバーにまた広く一般にも訴えたくこの本を出しました。どうぞ皆様のご理解を心からお願い申し上げます。


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