(4)教科書が何を子供たちに伝えようとしているか

 教科書が何を子供達に力を入れて教えようとしているのかは、そのスペースの取り方で分かってくる。1ページ割いて教えようとする事は何か? 一様な性質を持っている。左(教育出版・中学)は、伊藤博文(韓国併合を最後まで反対していた)を暗殺した、韓国では独立運動の英雄である安重根のことを大きく取り上げ韓国並みに扱っている。それに比べ小さく取り扱われているのが初代総理大臣の伊藤博文である。これが日本の教科書の現状なのだ。少ない紙面を有効に使い、日本人として知っておかねばならない人物はもっと別にいるのではないのか? 記述の仕方が逆ではないのか? このような外国の英雄像の不自然な取り上げ方は、日本の子供達に遠回しに罪悪感を与えている。

 右は、「朝鮮の人々・・この人たちの銃口はだれに向けられているのでしょう。」(大阪書籍・中学)と記述されているが、ここにはアメリカが日本に行った占領政策がそのままこの教科書に反映されている。負けた国はすべての汚名が着せられる、それである。こういう形態の文章が多く使われていて、実にいやらしい問いかけをして、決まってある方向に向かわせる。

 この「日本の近代化とアジア」明治維新の章では、日本の近代化の夜明けは、ご覧の通り朝鮮をはじめとするアジアの国々の迫害への第一歩だというわけだ。いったいどこの国の教科書なのか。この写真が日本の近代化を象徴するものなのか?しかも、この写真の出典は韓国国定教科書「高等学校 国史」、「抗日義兵戦争の展開」の中で下の方に置かれた一枚である。日本ではこれを自国教科書(中学)の近代史の扉絵に大きく格上げしただ。他国民が自国民に銃口を向けている写真を、他国の教科書から引っ張ってきて自国の教科書の扉絵にするなど、世界中でこんな事をする国があるのか?

 抗日義兵の写真は、韓国併合が、韓国人の気持ちを踏みにじって行われたことを示す証拠として使用されていると思われるが、同じような日本の統治経験を持った台湾の人は、皇民化政策「創氏改名・神社参拝・日の丸掲揚・日本語の常用」などについてどう思っていたのか?今の日本の教科書について、台湾出身の金美麗さんはこう語る。「朝鮮のことは知りませんが、台湾に関して言えば、こうした記述は実情とかけ離れています。事実は身も心も本気で日本人になりきろうと、自ら皇民化をすすめたということです。」(産経新聞平成12年3月20日朝刊) 日の丸についても、シンプルでユニークであれほどデザインのいい国旗はないとおっしゃっているらしい。

 同じく台湾出身の黄文雄氏は、51年にわたる日本の統治時代について、こう述べている。

アヘンを吸引しなければ生きていけないほど過酷な環境だった・・後藤新平が医療面と衛生面の改善に力を入れ、人が住める島に変えていったのだ。もう一つの遺産は教育の普及である。・・90%以上が非識字者だったのである。ところが日本が日本語教育に力を入れた結果、終戦前年には日本語の識字率71.3%に達していた。そのおかげで戦後、日本からの資本導入や技術移転が容易になり、経済発展の基礎を作ることができたのである。さらに治安と法治社会が確立された。・・日本は苦労しながら匪賊を武力鎮圧し、刑法や民法を制定して近代的で安定した法治社会を作り上げた。これは画期的なことだった。というのは、もともと中国社会は法の通用せぬ社会だからである。それが法治社会に変革したことで近代社会が成立し、近代市民意識が成熟し、民族意識と国家意識が生まれて「台湾人」が誕生したのである。こうした・・目に見える遺産以上に重要なのが”精神的遺産”である。それはすなわち「日本精神」、言い換えれば「大和魂」となる。・・日本では軍国主義と結び付いて悪いイメージになり、韓国だと侵略、搾取、略奪などの代名詞だ。しかし、台湾では・・プラスイメージしかない。・・よく台湾の年輩者は「私は日本精神をもっているぞ」と誇らしげに胸を張る。・・・今日の台湾は100年間に及ぶ日本との経済的・文化的な一体性により、・・もう一つの九州、もう一つの四国と考えればいいのである。こうした点が戦後50年以上にわたって日本を憎しみ続け、日本文化を拒否し続けてきた韓国との根本的な違いであり、それが台湾と韓国の、経済の健全さや強さの差につながっているのではないだろうか。』(『サピオ』1998,12/9「大和魂」=は台湾の誇りであり原動力である」黄文雄)

 

 ジップン・チェンシンとは、勇気(武士道精神と玉砕精神)・勤勉・誠実・愛国心などであると氏は言う。年輩の方たちの間では、今でも統治時代の名残である和歌−作っており、『台湾万葉集』の名でまとめてもいる。また、台湾の檜は日本の由緒ある神社仏閣の建物に使われていて、奈良県の橿原神宮や靖国神社の神門、東大寺大仏殿の垂木に使われている。今年3月の選挙報道では、きれいな日本語でインタビューに答える台湾の人が映っていた。反日なら決して日本語を使わないだろう。

 反日感と親日感の差は、その国の国民性や歴史によるところが大きいと考える。教科書やマスコミの情報から、親日アジアの声はほとんど聞こえてこない。歪曲してアジア全体が日本を恨んでいるとしか流さないからだ。

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